wagakki

忘却の峠、狐の残り香

きよ(Kiyo)

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Lyrics

夕暮れ迫る 峠の茶屋
能管の音が 虚空を裂く
白髪の老婆 影を引き
暖簾の奥に 闇を撒く
六十年前 記憶の底
匿ったのは 小さな手
木こりの少年 山を焼き
今は亡き霊 辿り着く
炉端の火の粉 舞い上がり
化かしの幻 揺らめいて
見送る背中 数えきれず
はぐれ妖怪 道しるべ
お前だけには 人の世を
全うさせると 決めたのに
隠しきれない 胸の熱
三味線の糸 粘りつく
十七絃の 低い音
歪む低音が 地を這うわ
冷たく告げる 「茶を一杯」
通りすがりの 客ならば
(一・二・三・四・五)
突き放す言葉 喉に刺さる
愛しき記憶 捨て去れと
情を殺して 山姫は舞う
輪廻の輪から 逸れぬよう
冷えた器に 嘘を注ぐ
あの日渡した 狐の根付
懐から出す 震える手
山の桜の 香りがした
永遠の別れ 今選ぶ
ああ 山は静かに
ああ 情は深く
あやかしの慈悲
夜に溶けていく
死に際の靄 晴れたのね
山の匂いを 追ったのね
桜の木肌 刻んだ愛
六十年を 超えて今
狂おしいほど 抱きしめたい
だけど私は 鬼になる
お守りだけが 知っている
二人の時間は 止まったまま
締太鼓の音 鼓動を叩き
甲高い叫び 天を突く
早く行きなさい 振り返らず
黄泉の境が 開くから
(一・二・三・四・五)
最後の一口 飲み干して
温い茶を飲み 旅立てと
最後の慈悲を 夜に溶かす
黄泉の道へと 続く風
背中を押して 振り返らず
狐の根付 握りしめて
お前の魂 天へ還れ
神代の夢は ここで終わり
一人の夜が また始まる
情けは無用と 言い聞かせ
冷たい指で 茶器を洗う
執着の糸 断ち切って
お前の幸せ 祈るだけ
たとえ私が 忘れられても
この山だけは 覚えている
風が吹くたび 思い出す
幼い日々の あの温もり
愛しき記憶 捨て去れと
情を殺して 山姫は舞う
輪廻の輪から 逸れぬよう
冷えた器に 嘘を注ぐ
あの日渡した 狐の根付
懐から出す 震える手
山の桜の 香りがした
永遠の別れ 今選ぶ
ああ 山は静かに
ああ 情は深く
暖簾を下ろし
独り茶を飲む

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