撫子の誓い 〜近江の霧、朝光の風〜
きよ(Kiyo)38 plays
白き蜘蛛の巣 糸を這い 埃を被る 桐の箱 金の蒔絵は 色褪せず 銀の簪(かんざし) 眠る場所 冷えた指先 触れたとき 百年の封 解かれゆく 薄い紅跡(べにああと) 毒を帯び 女子(おなご)の意識 混ざり合う 鏡に映る 見知らぬ瞳 黒髪揺れて 震える指 自販機の灯(ひ) 青白く 提灯揺れる 霧の道 柳の枝が 手招けば 魂(たま)は川辺へ 急ぎゆく 逢いたい その一心で 時を飛び越え 狂い咲け 冷たい銀が 燃え上がり 宿命(さだめ)の鎖 引きちぎる 打ち鳴らすは 宮太鼓 歪む弦(いと)の音 天を裂き 生きてる君を 見つけ出す 夜の底まで 駆け抜ける 愛して 狂おしく 壊して 美しく 石畳には 夜の靄(もや) 旧道沿いの 影法師 見慣れたはずの 街角で 君の背中を 見つけたり 心臓(こころ)の鼓動 早まりて 銀の細工が 熱を放つ けれど気付いた この呪い 触れれば君は 黄泉(よみ)の客 想い遂げれば 消え去る定め 愛した人を 道連れに そんな幕引き 望まない 涙は銀の 粒になる 柳の風が 頬を打つ 別れの刻(とき)が 迫りくる 抱きたい その一心で けれどこの手は 下ろしましょう 冷たい銀を 抱きしめて 独り最期の 華になる 轟く太鼓 地を揺らし 篠笛の音(ね)が 虚空(そら)を舞う 君の命を 守るため 私は私を 終わらせる 十七絃(じゅうしちげん) 震える夜に 悲鳴のような 三味線の音 「さよなら」さえも 言わぬまま 石の畳に 打ち付けた 砕ける銀の 冷たき響き 火花のように 散り急げ 砕けた欠片(かけら) 宙を舞い 薄紅色の 煙立ち 妖(あやかし)の情 溶けだして 春の夜風に 攫(さら)われる 君は気付かず 歩き出す 振り返る影 何もなく ただひとひらの 桜花(はな)が 川の面に 落ちるだけ 愛した その一心で 私は此処で 消えてゆく 冷たい銀は 砕け散り 想いだけを 流しましょう 打ち鳴らすは 桶胴(おけどう)か 遠のく意識 雅(みやび)なり 君の未来が 続くなら 何も悔いなど ありはしない 散りゆけ 狂おしく 流れて 美しく
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