霖
歌词
コンクリートに 滲む血痕 錆びた枕木 濡れる苔 二つに割れた 尾の影が 闇の深淵 揺らめいて 尺八の音 裂帛の気合 記憶の渦へ 誘いゆく 冷たき雫 頬を伝い 現と冥府 混ざり合う 六十余年の 孤独を抱き 妖力を削り 裂け目を繕う 山の輩は 愚かと嗤う 「人の名残に 狂いし猫よ」 それでも私は 針を刺す 結界の糸 結び直す たとえ骨さえ 土に還り 名前を誰も 忘れようと 雨降る夜の この隧道で 貴方の影を 待ち続ける この身が尽きて 塵になれば 雨音だけが 恋を歌う 永遠に続く 狂おしき夢 二人を繋ぐ 唯一の場所 滴る水は 涙のようで 止まぬ雨こそ 契りの証 嗚呼 戻らぬ日々よ 突然よみがえる 濁流の音 指をすり抜けた 緋色の袖 「またいつか」と 震えた声 耳の奥底 焼き付いて 箏の旋律 零れ落ち 重きベースが 地を這うように あの日の痛み 抉り出す 戻れぬ刻を 呪いながら 一年に一度 許された逢瀬 朽ちた線路に 幻影が立つ 山の静寂に 響く絶叫 「どうか私を 置いて行かぬで」 爪を立てても 掴めぬ霧 たとえ骨さえ 土に還り 名前を誰も 忘れようと 雨降る夜の この隧道で 貴方の影を 待ち続ける この身が尽きて 塵になれば 雨音だけが 恋を歌う 永遠に続く 狂おしき夢 二人を繋ぐ 唯一の場所 (語り) 「其処に居るのでしょう? 姿は見えずとも、風が貴方の香を運んでくる。 嗚呼、夜が明けてしまう。 無慈悲な光が、結界を閉ざしてゆく……」 たとえ骨さえ 土に還り 名前を誰も 忘れようと 雨降る夜の この隧道で 貴方の影を 待ち続ける この身が尽きて 塵になれば 雨音だけが 恋を歌う 永遠に続く 狂おしき夢 二人を繋ぐ 唯一の場所 滴る水は 涙のようで 止まぬ雨こそ 契りの証 夜明けと共に 影は消えゆく 雨が上がり 雲が切れる 雫が垂れる 葉の音だけ 二つの尾を なびかせながら 私は独り 山へ帰る
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