Lirik

錆びた鍵を 抉じ開けて
最後の扉を 背で押した
三十年 向き合った
木の香りは まだ消えちゃいない
握りしめた 古い鑿
手のひらの豆が 疼き出す
雪混じりの 風が吹く
俺の頬を 叩きつけるように

設計図の 墨のシミ
あいつと語った 夢の跡
逃げ出した 一番弟子も
今はどこかで 笑っているか

俺が刻んだ 波の跡
誰にも 消せやしないんだ
泥にまみれて 汗をかき
造り上げた 鋼の誇り
荒波を 越えてゆけ
この魂 削り出した船よ
夕日に 燃えろ

(ハッ!)
叩け 叩け 命の火を
(ソレ!)
響け 響け 潮騒の音

港を去った あの女
引き止めなかった 意地っ張り
後悔なんて 似合わない
すべてが今の 骨になっている
沖に浮かぶ 貨物船
灯りの数だけ 誰かが生きる
俺もここで 生きてきた
嘘のひとつも つかずに生きた

取り壊される 工場の
壁に刻んだ 背比べ
過ぎ去った 月日さえ
愛おしくなる 茜の空に

俺が刻んだ 波の跡
誰にも 消せやしないんだ
泥にまみれて 汗をかき
造り上げた 鋼の誇り
荒波を 越えてゆけ
この魂 削り出した船よ
夕日に 燃えろ

「お疲れさん」と 呟いて
道具袋を 肩に掛けた
明日からは 違う道
だけど心は 職人のまま
凍える指で 涙を拭い
一歩 踏み出す

俺が刻んだ 波の跡
誰にも 消せやしないんだ
泥にまみれて 汗をかき
造り上げた 鋼の誇り
荒波を 越えてゆけ
この魂 削り出した船よ
夕日に 燃えろ

誰も消せやしない
俺の生きた証しを
海よ 覚えていろ
この熱い 拳を

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