黄
歌詞
夕暮れがビオラを染めて ジョウロの先から零れる粒 木造のアパートの影が 石畳に長く伸びてゆく 常連の老夫婦の笑い声 遠くで路面電車が鳴る 店先のアイアンの椅子 若い二人が肩を寄せ合う 黄色いエプロンのポケット 指先に触れた硬い革 角の擦り傷が愛おしくて 不意に時間が巻き戻る サイフォンの音がコポコポと 記憶の底を揺らしている シクラメンの香りに包まれて あの日のハンチング帽を探す 吊るしたステンドグラスが オレンジの光を砕いてる 一人で守るこの店先も 今は静かな誇りになる ほろ苦い後悔さえも 愛しい日々の隠し味 革の定期入れの窓から 色あせた切符が覗いてる 二十歳の私が揺られてた 朝の光とガタゴトの音 ストーブのやかんが鳴いて 茶渋のついたカップを置いて 「いってらっしゃい」の声が 今も耳の奥で笑ってる シクラメンの香りに寄り添って あなたは今もここにいるみたい アイアンの椅子に座る二人 眩しい季節を眺めている 「今が一番幸せ」なんて 独り言が空に溶けてゆく 窓辺に咲いた小さな花 明日もここで水をあげよう
コメント (0)
読み込み中…