栞
الكلمات
ブリキの軒を叩く雨音 仕事帰りの不意な通り雨 アスファルトが吐き出す匂い 濡れた靴先を見つめていた 不意に開いた古い詩集の ページに眠る青い記憶 店から漏れるコルトレーン 琥珀色の灯が揺れている 水たまりに溶けるネオン 今はただ音に身を任せ 十数年前のライブチケット 挟まったままの遠い夜 偶然がそっと指に触れて 僕らは少しだけ立ち止まる 名前も知らない誰かの時間 重なり合うスウィングの端っこ 柔らかな風が吹き抜けて 胸の奥が少し暖かくなる 「それ、私が昔失くしたもの」 革ジャンの彼女が微笑んだ 少し掠れた優しい声が 雨上がりの空に溶けていく 本の角にある小さなシミ 彼女が愛した季節の跡 あの地下のライブハウスへ 僕も数年前に通ってた 奇妙な縁に笑い合えば 他人同士の壁が消えていく 十数年前のライブチケット 挟まったままの遠い夜 偶然がそっと指に触れて 僕らは少しだけ立ち止まる 名前も知らない誰かの時間 重なり合うスウィングの端っこ 「このジャズ詩集、いいわよ」 差し出された手は温かくて 日常の隙間に落ちていた 小さな歴史を拾い上げた 時間は円を描くように 僕らを今ここで繋いでる 雲の切れ間に夕暮れの色 街灯が静かに灯り出す ドアベルが鳴り響く合図 「お元気で」と背中を見送る 傘を畳んで歩き出す道 世界が少し新しく見えた 十数年前のライブチケット 挟まったままの遠い夜 偶然がそっと指に触れて 僕らは少しだけ立ち止まる 名前も知らない誰かの時間 重なり合うスウィングの端っこ 柔らかな風が吹き抜けて 胸の奥が少し暖かくなる 明日もまた歩いていける そんな気がした帰り道
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